衝撃の瞬間

中学3年の春。5月には修学旅行があった。
旅行先は京都、大阪だった。京都は歴史情緒の溢れる素敵な街で、僕は気持ちがウキウキしていた。清水の舞台はとても綺麗だったし、祇園を歩く舞妓さんにもテンションが上がったし、生八つ橋は想像以上に美味しくて、親へのお土産以外にも自分用にも買ってしまったしでとても楽しい。旅行だった。しかし、事件が起きたのはこの夜。

クラスごとに班に分かれて催しを用意していたのだが、僕の班は手品を用意していた。と言ってもそんなに難しい物ではないのだが、クラス一お調子者の一人がこっそりと軽く火を使う手品を用意していた。それは僕らだれも知らなくて打ち合わせにないものだった。
一人ひとり順番に手品をしていくのだが、僕の番が終わり、僕なりに好きなあの子にアピールできたと思った。次の彼の横に座ってみんなが終わるのを待機する。
彼なりに色々な手品を見せていた。中学生にしてはとても完成度が高くみんなが拍手して盛り上がっていた。
「最後にとっておきの手品があります。今日の為に練習して秘密にしていましたが見て下さい」と言って最後のマジックが始まった。ない用はマッチで火をつけてトランプを燃やすといった内容だったが、火をつけたトランプが思いのほか早く燃えたのか「熱っ」と言って手を話した。
一瞬視界から燃えたトランプが消えた。
次の瞬間誰かが気付き僕の頭を指差した。頭がなんか熱いなと思ったら髪の毛の上に燃えたトランプが!慌ててそのトランプを振り払い。事なきを得たのだが、少し燃えチリチリになった髪の毛のせいで楽しかった修学旅行はその後テンションが下がり殆ど記憶にない。そして、この衝撃とトラブルのせいなのか、僕の髪の毛が生える量が急激に下がった気がしたのだった。

高校生の2年の頃には、既にべジータというあだ名をつけられていた。
後退した髪を隠すためロングヘアにしていたのだが、嫌がる僕に先生は無理やりプールの授業に参加させた。

プールから上がった僕の髪を見て、誰かがベジータだ!!と言いだしたのが始まりだった。