転機~現在へ
「お前に会いたいって人がいる」
なにも知らされないまま友人の指定した待ち合わせ場所に。
都内にある小さな喫茶店。待ち合わせ時間に絶対に遅れるな!と言われていたので少し早めに出たら30分も早く着いてしまった。
とりあえずコンビニで缶コーヒーを買い時間が来るのを待つ。友人の急な知らせが何なのかハッキリと知らされてなかった僕はこれから何が起こるのかと不安になっていた。もしかして流行りのネットビジネスとかなら嫌だなと思いを巡らしていた。
19時30分。スーツ姿の友人とある女性が現れた。30代半ばと思われる女性は僕と会うなり、大学時代に僕がデザインした帽子を見せてきた。
話しを聞くと彼女は僕のデザインを使って帽子を作りたいと言うことだった。
その時アルバイトで適当に生活していた僕には刺激的な内容で速効OKをだした。
友人とその女性は取引先で、今回新しいデザインでファッションを出してみたいと悩んでいた所。僕の大学時代に作った帽子のデザインを彼女に見せた所からこの話が出てきたそうだ。
そこから楽だったかと言うとそうでもないが、その時僕も既に27歳。
正社員と言う道を蹴って選択した道だけに毎日必死で仕事をするしかなかった。
時には厳しく文句を言われる事もあり、寝ずに仕事に明け暮れた日もあった。デザインが浮かばなくて頭を掻き毟った日もある。そんな日々を乗り越え上手くいき大成功をおさめ、今ではデザイナーとして食べて行けるようになった。今ではすっかり前方後円墳の形も分からない位にツルツルになった。
しかし、この頭が禿げてたから帽子に興味を持ち。色々な帽子を物色し、自分でもこんなデザインの帽子があればなと考えられるようになったのだ。
そう考えると、中学の時に気がついた頭の後退のおかげではないだろうかと思う事もある。でも、今でも髪が伸びる事を期待してるのは僕だけだろうか?今日もさっそく育毛剤を浸けて見る。もう効果が無いとしても諦めたらここで終わると思うからだ。
そして、自分のデザインした帽子を被って出社するのだった。